しかし、依然、人間にはできて、コンピュータにはできないことはたくさんある。
人間と自然な会話をすることもできないし、
創造的な企画書を書くこともできない。
また逆に、コンピュータにできて、人間にできないこともたくさんある。
400984423×9152390143を計算するのにコンピュータは一瞬でできるし、
googleなどの検索エンジンでは何十億ものWebページから一瞬にして
キーワードが含まれるページを教えてくれる。
なぜこのように脳ができることと、コンピュータができることは違うのか?
脳はいまだ謎が多いが、
現在までで分かっていることを現在のコンピュータと対比すると
| 脳 | コンピュータ | |
|---|---|---|
| 計算ユニット数 | 200億ニューロン | 1CPU |
| 計算速度 | 200Hz | 3GHz |
| エラー率 | 高い | ほぼ0 |
計算ユニット数は同時に計算することができる数。
コンピュータは並列化すればこの数を増やすこともできるが、
200億並列計算機は技術的にも資金的にも不可能である。
計算速度は1秒間に行うことができる計算の数。
G(ギガ)は10億なので、コンピュータは脳の1000万倍以上早く計算できる。
コンピュータはエラーがあったら、
全く動かなくなってしまうのでほぼ0である。
一方脳はエラーを結構起こす。
しかし、うまく動いている。
このように脳とコンピュータはその原理的にも大きな違いがある。
最近の人工知能の研究は、
脳の原理をまねて人間のように考えるものをつくろうとするのではなく、
コンピュータの特長である計算速度、記憶容量を最大限生かして、
限られたことだけできるようなものをつくる、という研究が多い。
IBMのスーパーコンピュータがチェスの世界チャンピオンに勝つことはできたが、
そのスパコンは頭がいいとは言えない。
ただチェスしかできない、人間だったら全くどうしようもない人である。
もちろん、このような研究は、工学的な応用が様々考えられ、意味のある研究である。
しかし、この方向で研究を進めて行ったのでは、
人間のように考えるコンピュータをつくるのは難しいような気がする。
脳の簡単な数理モデルから作られたニューラルネットは、工学的にも成功した。
今後、また新たな脳科学の発見から、
人工知能の分野に大きな発展があることを期待している。
関連文献

心は機械で作れるか、ティム・クレイン