2005年01月17日

生成文法をお勉強

生成文法がわかる本
生成文法がわかる本、町田健、研究社

「生成文法ができるかぎりやさしく解説」された本。しゃべり言葉で書かれていて、ときどき筆者のツッコミが入ったり、とっつきやすい本です。

生成文法について今まで知っていたことは、まずチョムスキーが考え出したものということ。あとは、世界中には色んな言語があるんだけど、人間だったら誰でも言葉をしゃべれるのは、生まれつき文法を持っているからで、そのあらゆる言語のベースとなる文法が生成文法だ、ということでした。でもしっかり生成文法がどんなものか知らなかったので、この本で勉強してみました。で、生成文法の何が分かったのか、と言うと、生成文法は1960年代にチョムスキーによって提案されてから、色々修正され続けて、まだ固まったものでもないということ。この本では、生成文法がどうして生まれたのか?生成文法がどのような変遷をたどってきたのか?を歴代順に説明されています。

文法というと、中学校の英語の授業で習う五文型(SV、SVC、SVO、SVOO、SVOC)を思い出す人が多いと思いますが、無数にあるすべての文をこの5つの型に分類することは不可能です。で、そこでもう少し科学的に言語を扱えるように、アメリカ構造主義言語学で直接構成素分析というものがあみだされました。これは、言葉の意味を考え出すと難しくなるので意味をあんまり考えないで、文を二分木構造としてとらえようというものです。つまり、
文がまずおおきく二つの部分に分かれて、その部分がそれぞれまた二つの部分に分かれて・・・という過程を繰り返していくことで、文の構造が出来上がっているのだとする方法
です。

直接構成素分析で文の部分への分解の仕方は分かるのですが、その分解が同じだからといって同じような文であるとは全く言えません。そこで「偉大な言語学者チョムスキー」は、各部分にその性質を表す名前(名詞句、形容詞などの統語範疇)を与えて、「名詞句→冠詞+名詞」「名詞句→形容詞+名詞」など句構造規則を適用することによって、文を分解し構造をとらえることを考え出しました。以前の直接構成素分析ではあんまり根拠はないんだけど必ず二つに分かれるという方法でしたから、この「句構造規則」によって、文の構造を的確にとらえることができるようになりました。

句構造規則を用いることにより、単語集合から文をつくりだすことができます。この出来上がったものは「深層構造」と呼ばれます。また、実際に使われる文は「表層構造」と呼ばれます。表層構造には不規則性が多く含まれており、深層構造は規則正しい構造を持った文です。そしてこの表層構造と深層構造の文をつなぐものが「変形規則」と呼ばれるものです。

まとめると、単語集合から句構造規則を用いて深層構造をつくり、そこから変形規則で実際に使われる表層構造が「生成」されます。これが生成文法と呼ばれるゆえんです。この考え方は1957年に出版されたチョムスキーの「統語構造」で出されました。しかし、生成文法の基本的な枠組みが完成したのは1965年のチョムスキーによる「文法理論の諸相」によってであり、これは「標準理論」と呼ばれています。
標準理論では深層構造が文の意味を引き出すもとになっていたというのが一番の特徴でしょう


この標準理論にも大きな問題があって、1つ目は深層構造をもとに意味を考えるとうまくいかないことがあること、2つ目は様々な文を扱えるようにしようとすると節操なく変形規則が増えていきかねないことでした。この問題を解決するため、意味は表層構造から引き出す、変形規則に制約をもうける、という修正が加えられました。この制約で代表的なものが「構造保持制約」で、変形規則は深層構造の構造を変えてはいけないというものでした。

生成文法の究極の目的は「普遍文法」の解明です。普遍文法とは、人間の言語がもっている普遍的な性質のことです。その普遍的な性質をとらえようと考え出されたのがXバー理論で、できるだけ一般的な原理を使って言語分析を行うことが薦められました。その原理だけだと英語や日本語など違う言語を人間が使えるようになる理由を説明できないので、調節できる「パラメータ」というものを考え、そのパラメータが発達時期に学習され、母語を獲得するのだとしました。

そんなこんなで普遍文法の原理は、複雑なものになりすぎてしまったので、余計な部分をそぎ落とした「最小主義」というものに修正されました。最小主義では、まず何かの事柄を表すための単語が選ばれ、その構造は論理形式が作ると考えます。

本の最終章で、筆者が生成文法のいい所悪い所を挙げていて、これが生成文法の特徴をよく表現していると思いますので、かいつまんで紹介します。
生成文法の一番の功績だと思うのは、文の「構造」のきちんとした一般的な表し方を考え出してくれたということです。二番目は、コトバの分析に本当の意味での科学的な方法を取り入れたということです。三番目は、人間のコトバは本質的に同じだということを主張し、それを説明しようとしたことです。

生成文法のいけないところなんですが、文の「意味」というのをきちんと考えていないことです。その二は、そもそも絶対正しいとは言えない原理を、まるでもう正しいことが分かりきっているかのように考えて、それをもとにいろんな現象を説明しているように見えることです。


最後の方は、統率とか束縛とか難しい話が出てきて疲れてしまい、尻すぼみになってしまいました。時間をおいてまた読み返したいです。


posted by xi at 23:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 自然科学
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