2005年01月04日

ロボットにつけるクスリ、星野力、アスキー出版局

プロフェッサー星野と若手社員ベン君の対話を通して、人工知能の限界、知能をつくるときの問題点、人工生命・複雑系的アプローチなどについて、書いた本。おもしろく書かれているので気楽に読めます。1996年あたりの複雑系ブームは終わってしまったけど、コンピュータを人間の知能に近づけるためには、この本で書かれているような考え方が必要なんじゃないかな。
1950年、チューリングは「計算機構と知能」という論文を発表し、知能の実現には知識(記憶)のない赤子を作り、それに教育を施し、遺伝的に進化させる方法がよいと提案した。これはいわば知能にいたる”王道”だ

今のコンピュータ上に知能をつくる研究でこの王道に沿ったものって少ないですね。ある程度の学習機能をもったものはありますけど、限られた範囲のことしか学習できない。例えばチェスの勝ち方とか。フレーム問題があってなかなかこの王道を進むことはできないんですね。そう考えると、ホント人間ってすごいですよね。色んなことを学習できる。学習の仕方も学習できる。

(歴史シミュレーションで)予言は無理だとしても、歴史はどの程度偶然で、どの程度必然なのかを実験できるのだ。何度も歴史のテープを巻き戻せばね

進化シミュレーションをいくらしても正確な予測はできない。多数の要素が関連する複雑な現象には常にバタフライ効果がつきまといますから。でも、この歴史の偶然性を実験できるというのは進化シミュレーションの大きな魅力です。また、仮説提案、モデル構築、シミュレーション実験を繰り返し行うことで、現象の本質的な特性を知る手がかりを得ることもできます。シミュレーションができない時代ではいくら歴史の法則の仮説を出したとしても、単に例を挙げて「ほらよく見られる現象でしょ」と言うことしかできなかったですからね。でも、シミュレーション結果が歴史と合っているからといって、モデルが正しいと証明できたことにはならないですから、このことは気をつけないといけないです。

原始的な単細胞生物などは、ごりごりの利己主義でないと生き残れないだろう。進化するにつれて強調とかモラルとか自己犠牲などという文化的なものが現れたんだろうね

繰り返し囚人のジレンマゲームなどで強調行動が生まれるのと、生物の多段階進化(化学反応から細胞、ミトコンドリアとの共生、単細胞から多細胞など)は共通しているんですね。

ロボットにつけるクスリ―誤解だらけのコンピュータサイエンス



posted by xi at 20:24 | Comment(0) | TrackBack(2) | 自然科学
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